夕方、私が「何にしようかな」とつぶやくと、たいてい夫は「すき焼き!」と言います。鍋がジュウジュウ、グツグツ、いい具合に出来上がってくるころ、夫や息子たちの目は肉にくぎづけ。誰かが「もういいかな」と言った途端、お肉はなくなってしまいます。
すき焼きの主役である牛肉は、とても優れたタンパク源です。タンパク質は、私たちの体の一つひとつの細胞をつくり、筋肉や骨、血液などのもとになります。だから年齢を問わず、十分に取らなくてはならない栄養素です。
また、タンパク質は体の中に入るとアミノ酸に分解されますが、体内で合成されない「必須アミノ酸」が、牛肉には9種類すべて含まれています。
そして、牛肉はほかの肉に比べて脂肪が多いことも特徴です。その量は部位によって大きく違い、ステーキにするとおいしい脂身つきのサーロインには、ローストビーフに適した脂身なしのもも肉の約5倍もの脂質が含まれています。気になる方は、脂肪の少ないもも肉かひれ肉のステーキがおすすめです。すき焼きや、焼き肉には、タンパク質も脂肪も適度に含まれている肩ロースが向いていますが「おいしい、おいしい」と肉ばかり食べていると栄養が偏りがちになります。季節の野菜と共に味わいましょう。
また、牛肉は比較的鉄分が多い肉です。鉄分は赤血球のヘモグロビンの成分になり、造血に役立つ栄養素です。貧血気味のときや、激しいスポーツの後には、もも肉やひれ肉の料理が適しています。ただし鉄分は体内に吸収されにくいので、吸収を助けるビタミンCも一緒に取りましょう。
いずれにしても、牛肉は野菜を添えることでおいしさも栄養価も高まります。
参考文献
『クスリの食べ物』(西東社)
『新食品成分表〈2007〉』(一橋出版)
牛肩ロース肉(薄切り) | ……… | 400g |
---|---|---|
ネギ | ……… | 大3~4本 |
セリ(またはミツバ) | ……… | 100g |
酒 | ……… | カップ1 |
ダイコン | ……… | 200g |
ポン酢しょうゆ | ……… | 適量 |
七味唐辛子 | ……… | 適量 |
作り方(1人分401kcal)
- ネギは7~8mm厚さの斜め切り、セリは5~6cm長さに切ります。ダイコンはすりおろし、軽く水気を切っておきます。
- すき焼き鍋などに(1)のネギを敷き詰めます。その上に肉を1枚ずつ、軽くまとめるようにして載せ、セリを散らします。
- (2)に酒を掛けて、火にかけます。煮立つまでは強火、煮立ったら中火にします。野菜が煮えてきたら、ダイコンおろし、ポン酢しょうゆ、七味唐辛子でいただきます(鍋が小さいときは半量くらいずつ入れ、煮ながら追加していきます)。
撮影:大井一範
(JA広報通信2月号から転載)