アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

大豆で「あん」はできないの?

2022.03.31

大豆で「あん」はできないの?

エダマメの時ならOK

(C)こぐれ けんじろう・画

 みんなは夏に、エダマメを食べたかい? エダマメは大豆の生長途中のもの。畑では、緑だったさやが黄色く枯れ始めているよ。もうすぐ大豆の収穫だね。ところで、同じ豆でも小豆は「あん」になるのに、大豆のあんって見たことないよね。大豆はあんにできないのかな。

 あんができるかどうかはあん粒子が形成できるかどうかで決まる。あんを作る時にはまず、豆を水で煮るよね。その時、豆の中にあるデンプンの粒がたくさん詰まった細胞が、水を吸って膨らむ。さらに、加熱することで、それまでくっついていた細胞同士がばらばらになるんだ。この状態を餡粒子というよ。

 大豆にはデンプンがほとんど含まれず、あん粒子が形成されない。だから、大豆であんは作れないんだ。同じようにラッカセイもデンプンをほとんど含まないから、煮てつぶしてもペースト状になるだけで、あんにはならないよ。

 でも、大豆は無理でも、エダマメのころには大丈夫。エダマメにはデンプンが含まれているからあんができるよ。このあんこは東北地方などで「ずんだ」って言うよ。エダマメが育って大豆になるとデンプンが減ってしまうんだ。

 あんができる代表的な豆の小豆、インゲン、ササゲはデンプンの割合が50%もあるんだ。アズキはあん粒子の大きさの違いで、舌触りも変わる。一般的なアズキのあん粒子は100マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)だけど、大納言と呼ばれる大粒の小豆のものは、それより20マイクロメートルほど大きい。あん粒子が大きいと舌ざわりがざらっとするから、こしあんにせず、粒あんや甘納豆にするんだ。

 デンプンを含む豆はほかにも、エンドウやソラマメがあるんだ。どんな味のあんができるのか、さっそく確かめててみよう。

(取材協力=地方独立行政法人北海道立総合研究機構・中央農業試験場)