アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

草がどうして牛乳になる?

2022.03.31

草がどうして牛乳になる?

繰り返し分解するんだ

(C)こぐれ けんじろう・画

 みんな、牛乳は好きかな? 僕は朝起きたら必ず牛乳を、ぐいっとコップ1杯飲むんだ。僕の元気の秘訣(ひけつ)だよ。牛さんに感謝しなくちゃね。でも、牛は草を食べているよね? 草はどうして牛乳になるんだろう。
秘密は牛の胃にあるよ。牛は4つも胃を持っていて、そこで発酵や分解を繰り返し、乳房で牛乳を作るんだ。牛は牧草や干し草、飼料作物を発酵させたサイレージなどを食べるよね。口の中で何回もかみ砕き、胃に送るよ。でも、牛は植物の繊維(セルロース)を直接分解することはできないんだ。そこで活躍するのが4つの胃だ。

 第1胃には、たくさんの微生物などがいて、セルロースを少しずつ分解してくれるんだ。一度ですべてを分解できないから、第2胃から、再び口に戻して、すりつぶすということを繰り返し、発酵させるんだ。これを1日に6~10時間もかけてやっているよ。ゆっくりと、おいしい牛乳を作る準備をしているんだね。第1胃が一番大きくて、大人の牛なら150~200リットルもあるんだ。

 第2胃、第3胃は縮んだり、緩んだりして内容物の移動をコントロールしているよ。第4胃で、さらに消化が進み、小腸でも消化して栄養分を取り込むんだ。取り込まれた栄養分は血液によって乳房に運ばれ、乳房の乳腺細胞が牛乳を作るんだ。

 牛乳1リットルを作るのに400~500リットルの血液が必要なんだ。1日に20リットルの牛乳を出す牛なら、1万リットルの血液を乳房に送っているんだ。
牛が牛乳を作る途中で副産物のメタンができるよ。げっぷになって出るメタンは、地球温暖化に影響すると心配されているんだ。でも大丈夫。日本やオーストラリアなどいくつかの国では、餌を工夫してメタンを発生しにくくする方法を開発している。みんな、安心して牛乳をどんどん飲もうね!

(取材協力=日本酪農乳業協会)