アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

キャベツの味、形なぜ違う?

2022.03.31

品種改良されてるんだ

(C)こぐれ けんじろう・画

 桜が咲いてすっかり春らしくなったね。店に行くと、野菜売り場には春野菜が並んでいるよ。僕は”春キャベツ”を買ったよ。一年中売られているキャベツをよく観察すると、味や形、質に違いがあるけれど、なぜだろう?

 収穫が春だと春キャベツ、初夏から秋は夏秋キャベツ、12~3月の寒い時期は寒玉キャベツと呼ぶよ。さらに、形や質によって分けると、(1)寒玉(2)良質(3)丸玉――の3つのタイプがあるよ。日本で食べられているうち、寒玉が6割、良質は3割ほどを占めているんだ。

 (1)の寒玉タイプは、葉の表面のでこぼこがなく、やや平たい玉になるよ。葉の巻き方が硬く、シャキシャキとした食感が特徴だ。サラダや煮物のほか、お好み焼きなどの加工調理用に使われるよ。冬場は特に糖度が高く、メロンと同じくらいになるんだ。寒さに当たると細胞が凍らないように糖を蓄えるからなんだよ。

 (2)の良質タイプは、鮮やかな緑色の葉が、柔らかく巻かれ、表面がでこぼこしているよ。玉の中は、表面に近い方が緑色で、中心に近くなるほど黄色だよ。みずみずしくて柔らかく、おいしいキャベツとしてサラダに使われることが多いんだ。

 (3)の丸玉タイプは「グリーンボール」とも呼ばれ、小型で丸い玉のような形をしているよ。葉は厚いけれど、柔らかいから、浅漬け用として人気があるよ。

 (1)~(3)は、栽培技術や品種開発が進んで、季節を問わずに作られているよ。調理に合わせて使い分けるんだね。店に毎日並ぶキャベツも、出荷する産地は季節によって違うよ。日本の気候や緯度の違いを生かした産地リレーのおかげで、一年中キャベツを食べられるんだね。

(取材協力=タキイ種苗茨城研究農場)