アキバ博士の食農教室「食の知恵と文化」

野菜は皮に栄養があるの?

野菜は皮に栄養があるの?

ちょっぴり多いんだ

 あったかい鍋物がおいしい季節だね。僕はダイコンが大好き。でも、ダイコンの皮ってむくのが大変だし、台所の三角コーナーが、皮でいっぱいになるくらい、ごみが出るよね。よく「皮に栄養がある」というけれど、本当かな?

はっきり言おう。野菜の皮には確かに栄養はある。しかし、すごくたくさんあるわけではないんだ。皮をむいて食べるより、皮をむかないで食べる方が、ちょっとだけ栄養を多く取れる、という程度さ。

例えば、皮付きのダイコン100グラムは、皮をむいたものより食物繊維は約0・1グラム多くなる。これは小さじ50分の1程度で、わずかな量さ。ダイコン特有の辛味成分で、がんを抑制する働きがある酵素「ミロシナーゼ」や、肌を再生するビタミンCも、中心よりも皮近くの方が少しだけ多くなる。皮はむくよりも、むかない方が、効率良く栄養分を吸収できるよ。

ほかの野菜も同じさ。ニンジンは体の免疫力を高めるカロテン、レンコンは抗酸化作用があるポリフェノールが、中心部分よりも皮に少しだけ多く集まっている。根菜類は、皮に栄養分を集めて、野菜のみずみずしさを外に逃がさないようにブロックしているんだ。

キャベツやハクサイなどの外側の緑色の葉は、内側の白っぽい葉よりもカロテンなどのビタミン類が少し多いよ。外側の葉ほど太陽光が当たり、光合成で、栄養分を作りやすいからね。皮はむかない方が効率良く栄養分を吸収できるのに、どうしてむいて捨てるのかな。理由は2つ。1つは、食べたときの食感をよくするためさ。食物繊維が集まった皮の部分は、かみ切りにくく、のどごしが悪くなってしまうからさ。2つ目の理由は、外国産の野菜の皮には農薬や防腐剤がついている、と心配する人がいるからなんだ。ここ10年くらいで食の安全が注目され、皮を厚くむく人が、一気に増えたよ。

野菜の皮をむくのは当たり前と思うかもしれないけれど、広がったのは戦後になってからなんだ。考えてみて。江戸時代から伝わる漬物や切り干し大根は、皮をむいてないでしょう。昔は少しでも多くの栄養分を取ろうと、皮まで食べる工夫をしていたんだね。昔の人の「もったいない精神」を、忘れてしまったら、それこそ「もったいない」よなあ。

(取材協力=京都府立大学、女子栄養大学)

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