アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

ハクサイはどうしてひもで縛るの?

2022.03.31

ハクサイはどうしてひもで縛るの?

保温のため冬支度さ

(C)こぐれ けんじろう・画

あったかい鍋料理にぴったりのハクサイ。冬の畑にあるハクサイは、ぐるっと、ひもで縛(しば)ってあるよね。知ってるかな? なんで縛るんだろうね?

 ハクサイを縛るのは、葉に霜がおりて傷まないようにするためだよ。霜がおりたり、気温が零度以下になったりすると、細胞内の水分が凍り、葉が枯れてしまう「霜枯れ」が起こる。これを防ぐために一番外側の葉で覆い、保温しているんだ。出荷するときには外葉を外すよ。手作業で手間がかかるけれど、ハクサイを寒さから守るための大切な仕事なんだ。

 ハクサイを縛るのは11月下旬から。少し霜に当てて、茎を柔らかく縛りやすくしてから、外葉をそろえてまとめるように縛るよ。今はビニールひもを使っているけれど、20年ぐらい前は、わらだったんだって。葉と葉の間に、ほこりや土が入らないように、また、ハクサイの形を整える効果もあるんだ。そのまま、春の収穫まで畑で冬を越すよ。

 最近は、縛らなくてもいいように、葉が巻きやすくなった品種も出ているんだ。大きな産地では、取り入れて、縛る手間を減らしているよ。

 人間がお手伝いしなくても、ハクサイは自分で寒さから身を守る工夫をしているよ。葉の枚数を増やし、葉と葉の間にたくさん、すき間を作って空気をため込むんだ。ダウンジャケットを着ているような感じかな。ハクサイの水分は96%と多い。その分、気温の影響を受けやすく、傷みが広がりやすいんだ。

 ハクサイは、寒くなると体内のでんぷんを蔗糖(しょとう)に変えて甘くなるって知ってた? 細胞内の水分を砂糖水にして、水が氷になる温度を下げているんだよ。

 寒すぎると葉が傷むけれど、適当な寒さは味が良くなり、人間にとって、いいことがあるから、あったかけりゃあいいってものでもないのさ。

 甘くなったハクサイは鍋料理にピッタリ。切ると、水分が細胞から飛び出してハクサイのうま味が鍋に移る。そして、そこに鍋のうま味がぐんぐん吸い込まれるよ。

(取材協力=カネコ種苗)