アキバ博士の食農教室「食の知恵と文化」

キンモクセイは実がつかない?

キンモクセイには雌株がない
(C)こぐれ けんじろう・画

雌株がないからだよ

 もう10月も半ばだね。みんなは学校の行き帰りなどに、キンモクセイの花の強く甘い香りに振り向くことがないかな。

 キンモクセイはツバキみたいな厚くて硬い葉をつける樹木。10月ごろ、枝に薄いだいだい色の小さな花をたくさんつけ、一つ一つが強く香る。花をたくさんつけるけど、実がなっているところを全然見ない。どうしてかな。

 それは、日本にあるキンモクセイは雄株ばかりで、雌株がないからなんだ。

 普通、植物は一つの花の中に、花粉を出す雄しべと果実のもとになる雌しべの両方を持つ。でも、中には、花粉を出す雄花と、実をつける雌花を分けて咲かせる種類がある。これを「雌雄異株(しゆういしゅ)」というよ。キンモクセイもその仲間で、雄株の出す花粉と、実をつける雌株がそろわないと、実がならないんだ。

 実は、キンモクセイは、もともと日本にあった植物ではなくて、江戸時代に中国から輸入したものなんだ。そのとき持ち込まれたのが、雄株だけだった。それ以来、ずっと挿し木で増やしてきたため、日本には雄株しかないんだ。

 雄株を持ってきた理由は、雌株よりも花つきが良いからだといわれているよ。

 雄株と雌株の区別がある樹木には、ほかにもイチョウやキウイフルーツなどがある。イチョウの実は、茶わん蒸しなどに使うギンナンだ。だからギンナンは、どのイチョウの下でも拾えるわけじゃなくて、雌株の下じゃないと拾えないんだ。

 キウイフルーツも、雌株にしか実はつかないよ。だから、キウイフルーツを栽培している農家の人たちは、雄株と雌株の両方を植えているよ。一般家庭でキウイフルーツを植えるときも、両方をそろえる必要があるんだよ。