アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

鳥はなぜ土中の種見つけるの?

2022.03.31

鳥はなぜ土中の種見つけるの?

空から作業眺め記憶

(C)こぐれ けんじろう・画

 春は、種まきの季節。うちの畑にもエダマメの種をまいたんだけれど、鳥にほじくり出されちゃったんだ。ショック~。きちんと土を掛けたのに。なんで鳥は、土の中に埋めた種が分かるんだろう?

 なんと鳥は、空から眺めて「あ、今ここに種をまいたな」と分かったら畑に下り、種をほじくり出して、食べるんだよ。人間の農作業を見て、種の在りかを確認しているんだ。

 特にハトや渡り鳥のアマサギは、トラクターで畑の掘り起こしが始まるとすぐに、起こしたばかりの軟らかい土に着地して、餌を探すこともあるよ。人間が土を掘り起こした後は、深いところにあった土が表面に現れて、古い種やミミズなどの虫が出てくることを、分かっているんだね。彼らにとっては、ごちそうの掘り起こしなのさ。

 春は、ここに幼虫が出てくる、秋は、あそこに木の実が落ちると、鳥はきちんと覚えているんだ。森の中の木は動かないから、短期間で大きく環境は変わらない。農作業も、田起こしや種まきの時期は、だいたい決まっているよね。鳥は、いつ、どこにどんな餌があるか、だいたい把握しているというわけ。

 鳥の中でも特に頭がいいといわれているカラスは、殻の硬いクルミをわざと道路に置いて、自動車にひかせて割り、それを食べる、なんていう技を持つものもいるよ。カラスの脳の重さは体重の1~2・5%にもなる。人間の2・3%と変わらないくらい重いんだ。

 なんでそんなに頭がいいかって? 鳥には嗅覚(きゅうかく)がほとんどない上、視力も人間と同じくらいで、ずば抜けていいわけでもない。必死で餌がある場所を覚えるしかないんだ。イノシシやタヌキなどは、嗅覚と視覚をフル活用し、餌がある位置を探り当てているよ。

 農家も鳥にやられているばかりではないよ。種を食べられないように、いろいろ工夫しているんだ。種を2センチ以上深く埋めて、鳥のくちばしが届かないようにしたり、地域の農家が一斉に種をまいて、鳥がどこの畑に行ったらいいか、迷ってしまうようにしたりしているよ。鳥が嫌いな味がする「チウラム」という赤い農薬を種に塗り、「赤い種はまずいんだ」と覚えこませることもあるよ。鳥の頭の良さを利用するんだね。

(取材協力=中央農業総合研究センター)