アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

赤ちゃんはお乳だけでなぜうんち?

2022.04.01

赤ちゃんはお乳だけでなぜうんち?

腸で水分吸うからさ

(C)こぐれ けんじろう・画

 この間、赤ちゃんのおむつを替えたんだ。軟らかくて緑色っぽいうんちをしてたよ。赤ちゃんは、お乳しか飲まないのに、どうしてうんちが出るのかな?

 人間の体は、食べ物を口に入れてかみ砕き、胃でどろどろにして、栄養と水分を小腸と大腸で吸収するようにできている。食べ物の残りかすが、うんちになるんだよ。液体の母乳やミルクしか飲まない赤ちゃんでも、大腸で水分を吸収するから、形のあるうんちが出るというわけさ。

 でも、赤ちゃんのうんちって大人とはちょっと違う。しっかり硬いうんちじゃないんだ。赤ちゃんが飲む母乳に秘密があるよ。実は、うんちを硬くする食物繊維がほとんど含まれていないんだ。ほかにも、母乳には臭さの原因になる、たんぱく質や細菌が少ないから、赤ちゃんのうんちは、大人と比べてにおいが少ないんだ。

 赤ちゃんは、緑色や黄土色のうんちをすることがあるよ。腸の中でうんちと空気が混ざって酸化するためさ。母乳といっしょに空気をたくさん飲み込むと、色が変わりやすいよ。

 母乳には、乳たんぱく質という栄養がとても多い。普通の食べ物は栄養の7、8割が吸収されるけれど、母乳の栄養は9割が吸収される。すごいね。

 赤ちゃんが離乳食で米や野菜、果物などを食べるようになると、食物繊維の力でうんちが硬くなり、たんぱく質や細菌によって、しっかりにおいがついたうんちができるよ。

 こういううんちは「栄養をきちんと吸収して、かすを出しました」っていう立派な証拠だね。うんちが臭くなりやすい食べ物は肉などのたんぱく質やタマネギ、ニンニクといったにおいの強い物。それから便秘で腸にずっとうんちがいると、うんちの中の細菌の死(し)骸(がい)が腐って、臭くなるんだよ。

 何も食べなくても、うんちは出るって知ってた? 食べ物を吸収する腸の粘膜は、毎日入れ替わっているからね。いらなくなった古い粘膜が“ごみ”として、うんちになって体の外に出てくるんだ。皮膚の古い角質が、垢(あか)としてでるようなものだよ。

(取材協力=さいたま市立病院)