アキバ博士の「健康」

インフルエンザワクチン なぜ卵から?

インフルエンザワクチン なぜ卵から?

入手しやすいからさ

 新型インフルエンザがはやっているけれど、みんな大丈夫かな。僕は手洗いとうがいと、バランスの良い食事をして、ばっちり予防しているよ。インフルエンザワクチンの接種も始まったね。実はインフルエンザワクチンを作るのに、鶏の卵が使われているんだ。何で鶏の卵が使われているんだろう。

 インフルエンザワクチンというのは、感染性をなくしたインフルエンザウイルスを人に接種して、インフルエンザを防ぐための免疫を付けるものだよ。このワクチンを作るには、まず原料となるウイルスが必要なんだ。その上で、ウイルスがよく増えるということや、簡単に、大量に手に入るという利点もあって、鶏の卵がワクチンの製造に使われているんだ。

 うまくウイルスが増えれば、1、2個の鶏卵からワクチンの原料になるウイルスが大人1人分、手に入るんだ。1個の鶏卵から大量に作れるわけではないんだね。ワクチンを作るために、日本で1日に何百万個、何千万個もの鶏卵が使われているんだ。

 ワクチン製造に使われるのは、僕らがいつも食べている鶏卵とは違う「孵化(ふか)鶏卵」という卵だよ。孵化鶏卵というのは胚(はい)を成長させている卵のこと。つまり、ひよこになる前の卵のことだよ。孵化鶏卵を使うわけはウイルスが生きた細胞に感染して増えるという性質を持っているからなんだ。受精卵を37度に温め、発育途中の状態にするんだ。

 受精卵を温めて10~12日目の孵化鶏卵を消毒し、注射針が通るくらいの小さな穴を開ける。この穴からインフルエンザウイルスを注射し、穴をふさいでウイルスを増やすんだ。2日後に、鶏卵の中の胚のおしっこである「しょう尿液」にたまったウイルス液を集めて、ワクチンの原料にするんだ。その後、ウイルスを精製・凝縮し、感染性をなくした上で国の検査を通って、ようやく僕らの知っているインフルエンザワクチンになるんだ。

 ウズラの卵は使えるのかなって思った人もいるんじゃないかな。実はウズラの卵は小さくて、とれるウイルスの量も少ないから、インフルエンザワクチン製造には使われないんだ。

 医療でも鶏は人間の役に立っているんだね。インフルエンザにかからないように、注射嫌いの僕もワクチンの注射に行かなくちゃ。

(取材協力=国立感染症研究所)