野菜や人と出会いの場―やさい畑おんが店(JA北九)
ずらりと並ぶ、生産者の違うネギ
直売所での楽しみの一つ。それは直売所ならではの「出会いの場」だと思う。
「品ぞろえに力を入れている」というJA北九「やさい畑おんが店」。その言葉に納得。
広い店内には、根菜類、葉菜類、果菜類など多くの野菜があふれている。珍しい野菜、あまり市場に出回らない野菜との出会いは、実に楽しい。私は、シソの実になじみがなかったのだが、横には特徴やレシピもついており、新たな発見の場となって、楽しませてくれる。
枝についたまま売られるエダマメも、私にとってはとても新鮮だった。食卓に並んだエダマメを見ても、どのように実っているのか考えもしなかった。しかし実際に見て、これがやがて畑で大豆になり、豆腐やおみそへと変化していくと思うと、野菜を近くに感じずにはいられなかった。
次は生産者との出会いである。これから寒くなる季節、鍋に欠かせないネギは、なんと7人もの農家が出荷していた。一つの野菜をとっても、生産者が異なれば、味も量も包装もちがう。選ぶ楽しみがある。
「おいしかった生産者の野菜を探して買うのよ」頻繁に利用する主婦は言った。野菜の向こう側に見える、生産者との出会いだ。
壁に飾られた誇らしげな生産者の顔写真も「安全に気をつけております!」と言葉で訴えているようで、安心して買い物ができる。
先日私が訪れたオーストラリアのマーケットでも、生産者と消費者の出会いがあった。生産者が対面販売しながら、生産方法のこだわりや食べ方を説明していて、より強い結びつきが感じられた。
日本でも、生産者と消費者の直接の出会いの場を設けることで、さらに信頼を増した、より楽しい買い物ができるだろう。
メモ
JA北九「やさい畑おんが店」
遠賀郡遠賀町今古賀632-3。売り場面積272平方メートル。年間約29万人が訪れ、約1億8000万円を売り上げる。