ショウガを食べるとなぜホット?
ショウガを食べるとなぜホット?
辛味が温覚を刺激
いやあ、新年号では、僕の“秘密”が大々的に紹介されて恥ずかしかったな~。妹のマイとマメは、初登場に喜んでいたけれどね。今、僕の家族はみんな、ショウガにはまっているよ。僕は母さんが栽培したショウガをおろし、紅茶に入れて飲むのが大好き。飲むと体が温かくなるからね。でも、なんでショウガって、体を温める働きがあるのかな。
まずは、ショウガを一口かじってみてほしい。ぴりっと辛いよね。これは「ジンゲロール」「ショウガオール」「ジンゲロン」という3つの辛味成分のためなんだ。生のショウガに一番多く含まれているのは、この中の「ジンゲロール」だよ。
これらの辛味成分は、温かさを感じる「温覚」という神経を刺激するんだ。特に舌やのどの奥、胃の中の温覚は、刺激を感じる能力が高いんだ。だからショウガを食べると、熱い食べ物を食べているわけではないのに「温かい」と感じてしまうんだ。
この刺激は温覚から瞬時に脳に伝わって、今度は脳から反対に「体の温度を下げなさい」という指令が出るんだ。だから体は血行を良くしたり、汗をかいたりして熱を早く下げようとするんだ。トウガラシやこしょう、サンショウも、ショウガと同じように、温覚を刺激するんだ。英語では、この辛味を「ホット」と言うよ。
でもさ、からしとかわさびだって辛いよね。たくさんわさびのついたおすしを食べたとき、鼻がつ~んとしたことない? これは冷たさを感じる神経の「冷覚」を刺激するんだ。そういえばわさびって、食べると、なんだか涼しくなる気がしない? からしとわさびの辛さは、「ホット」ではなく英語で「シャープ」と言うよ。食べ物によって、温かさや冷たさを感じてしまうなんて、不思議だね。
そうそう、ショウガを食べて血行が良くなると、冷えが原因で起こる腎臓の炎症にも効果があるといわれているよ。昔から漢方薬にも使われているんだ。
今日も母さんが手間暇かけて作ってくれたショウガを入れて、紅茶を飲もうっと。おっと、さっきから、母さん、母さんと言っているけれど、僕はマザコンではないからね。
(取材協力=女子栄養大学、お茶の水女子大学)