お月見団子はどうして?
お月見団子はどうして?
収穫を感謝するんだ
朝晩涼しくなり、秋の気配がしてきたね。秋というとスポーツの秋、芸術の秋といろいろあるけれど、みんなの秋は何かな。え、僕? ゆっくりお月見をして、お供えの団子を食べて秋を満喫したいなあ。それにしても、なんでお月見に団子を供えるんだろう。
当初、月にお供えしていたのはサトイモなどの畑作物の芋類と豆類なんだ。その後、米を使った団子も登場するようになったんだ。丸い団子の形も、月に似せて作ったんだよ
普段、仏様などのお供えを子どもたちが勝手に食べたりすると、大人に怒られちゃうけど、お月見の時だけは別。子どもがお供えをこっそり食べても大人から怒られないんだ。近所の家で供えた団子を、子どもたちが食べ歩くという風習もあったんだって。
ただ、「嫁入り前の娘は絶対食べてはいけない」と言い伝えられていたそうだよ。丸い月と丸い団子が妊娠を連想させるからだという説があるんだって。驚きだねえ。
ピラミッドのような山形に団子を盛るのも、訳があるんだ。団子の先端が「霊界」に通じると考えられてきたからなんだ。団子を通して、収穫の感謝の気持ちを月に伝えていたと考えられているよ。霊界と通じたい時には、このようにお供えものを中空に高く積み上げたり、つるしたりしていたんだ。なんか、アンテナみたいだね。
お月見は、そもそも収穫を祝う行事なんだ。サトイモや豆類を月にお供えして収穫に感謝するんだよ。太陽と同じように月も豊かな実りの象徴なんだ。古い書物を調べると、平安時代から既にお月見はあったことが分かっているよ。
収穫を感謝する気持ちは、月の呼び名からも分かるよ。旧暦の8月の初め(新月)から数えて、15日目に当たる十五夜(満月)を「芋名月」と呼ぶよ。今年は10月3日がそうだ。
ほかにも、旧暦の9月の初めから13日目の十三夜を「豆名月」「栗名月」と呼ぶよ。それぞれ、収穫時期に合わせて名付けられたんだよ。農作業と月って、密接な関係にあるんだね。
昔の人も、僕らが見ていたのと同じ月を見ていたんだね。収穫に感謝して、今年は団子だけではなくてサトイモや豆も一緒にお供えしようっと。
(取材協力=国立歴史民俗博物館)