アキバ博士の食農教室
AKIBA-HAKASE

トウモロコシのひげは何?

2022.03.31

トウモロコシのひげは何?

粒から出ためしべさ

(C)こぐれ けんじろう・画

 いよいよ夏休みだね。今年の夏も暑さに負けないように元気に過ごそう。冷たいアイスクリームやかき氷もいいけれど、トウモロコシも夏が旬の食べ物だよ。ビタミン、たんぱく質、食物繊維などの栄養素をバランスよく含んでいるんだ。緑色の皮をむくとき、トウモロコシの先端から、黄緑色や茶色の「ひげ」のようなものがたくさん出ているけれど、あれは何だろう?

 ひげの正体は、トウモロコシの「めしべ」だよ。長く伸びるめしべは「絹糸(けんし)」と呼ばれているよ。みんなが食べる粒の一つ一つから伸びていて、花粉がつくと受精するんだ。だから、トウモロコシの粒と、ひげの数は同じになるね。粒の数は品種によって違うけれど、600粒くらいだよ。

 トウモロコシの雄花は、茎の先端にススキの穂のような感じで咲いて花粉を落とすよ。めしべの絹糸に花粉が落ちてきて受粉すると、花粉管が絹糸の中で伸びて、粒のところで受精するんだ。受精すると、粒の中に実が詰まっていくよ。

 絹糸がトウモロコシの先端から出てくるよりも早く雄花が開花して花粉が落ち始めるんだ。だから、トウモロコシは、ほかの株から飛んでくる花粉で受粉すると言われることがあるけれど、自家受粉もするよ。トウモロコシの花粉の量は1株で約2000万粒もあって、トウモロコシ畑では花粉が飛んでいるのが白く見えることがあるんだ。

 絹糸は、トウモロコシの下の方から先に伸びていくよ。だから下の方から受精が始まり、実が詰まっていくんだ。上の方は受精できずに実が入らないこともあるよ。そのため、種を売る種苗会社は先端まで実がしっかり詰まって、農家が作りやすいトウモロコシの育種に力を入れているんだ。

 絹糸は受精すると役目を終えて、粒から切れてしまうよ。収穫期のトウモロコシの長さは約20センチで、絹糸は倍の40センチほどになるよ。受精しなかった場合は、1メートルくらいまで伸びるんだ。

 トウモロコシの先端から絹糸が出て25日くらい、種をまいてからは90日弱で収穫だ。触ってみて手応えがあり、絹糸が豊かに生えているものは、実がよく詰まっているはずだよ。

 みんなも夏休みにおいしいトウモロコシをよく観察して、たくさん食べよう。

(取材協力=山梨県総合農業技術センター・高冷地野菜・花き振興センター)